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第17回 アイフレイル
人間は外界からの情報の80%以上を目から取り入れていると言われていますが、年齢を重ねることによって目はだんだんと衰えていきます。この加齢によって視機能が低下した状態、またはそのリスクが高い状態を「アイフレイル」と呼びます。40歳を過ぎると目の衰えを自覚することが多くなり、小さい文字が見にくい、夕方になると見にくくなる、目が乾燥する、明るいところでまぶしい、瞬きをしないとよく見えない、目がゴロゴロする、目が疲れやすい、まぶたがさがってきた、めやにがでる、といった症状が目立つようになります。このような自覚症状がなくても、夜間の運転を避けるようになる、読書の機会が減った、段差や階段で躓きやすい、化粧ができなくなった、というような行動面から症状を自覚することがあります。
アイフレイルは単なる目の問題だけではなく、心身の健康や社会的な関わりにも影響を及ぼしてきます。視力低下による身体活動の減少から筋肉量や体力の低下につながり、骨折や転倒のリスクを高めます。また、認知機能の低下やうつのリスクを高めたりと精神面への影響も知られています。さらに、視力低下によって社会参加や外出の機会も減り、社会とのつながりも希薄になってしまう可能性が示唆されています。
職場においてもアイフレイルは重要な課題の1つとなっています。少子高齢化による高年齢労働者の増加と共に、視機能障害を有する労働者も増えてきています。また、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの機器を長時間使用する機会も多く、目の負担は以前よりも大きくなっています。眼精疲労やドライアイ、ピント調節機能の低下などは、業務効率の低下や集中力の低下を招く要因となります。さらに、視機能の低下は転倒や事故のリスクを高めるだけでなく、認知機能とも関連することが指摘されています。そのため、安全配慮の観点からも職場におけるアイフレイル対策の重要性は高まっています。情報機器作業の環境改善として、パソコン画面との距離を適切に保ち、照明や画面の明るさを調整することが重要で、画面照度500ルクス以上、グレア対策、視線が下がるよう画面を設置することが望まれます。また、定期的に休憩を取ることが必要であり、一般的には「20-20-20ルール(20分ごとに20フィート先を20秒見る)」が目の疲労軽減に役立つとされています。ドライアイ対策としては、長時間画面を見続けるとまばたきの回数が減少するため、意識的なまばたきや適切な湿度管理(湿度40~70%)、エアコンや扇風機の風が直接当たらないような配置、水分補給などを行い、眼表面の乾燥を防ぐことが大切です。生活習慣の改善も重要であり、十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動は全身の健康だけでなく目の健康維持にも有効です。そのほか、ご自身の健康管理の一環として定期的な眼科検診で早期発見、早期治療も勧められます。
目の変化は生活の質や業務効率、安全にも深く関わってきますので、「年齢のせい」と見過ごすのではなく、個人と職場双方でアイフレイル対策を推進していくことが望まれます。日本眼科啓発会議がアイフレイルチェックリストを公開していますのでぜひ活用してください。
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(株)安川電機
統括産業医 宮﨑洋介専門分野:産業医学、産業保健
資格:産業衛生専門医・指導医、社会医学系指導医、労働衛生コンサルタント(保健衛生)









