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第12回 職場における腰痛②
~デスクワークでの留意点~

現代社会において、働く人たちの多くはデスクワークが中心です。デスクワークで猫背や前かがみ姿勢で作業をすると腰まわりに負担が蓄積され、腰痛のリスクが上昇します。また、顔が前のめりとなり肘の角度が直角になると、首から肩にかけての筋肉の緊張が強まり、肩こりにつながります。そこで、図に示した5つのチェックポイントを確認すると、より腰痛のリスクを抑えることができます。ノート型パソコンに関しては、画面への視線が低くなりがちなので、猫背や顔が前のめりになりやすいです。そのため、対策として外付け画面や台などを使用することが勧められます。また、猫背になりにくくする工夫としては、折りたたんだタオルやクッションを座面に敷いたり、背中と背もたれの間に挟んだりして、腰の背骨が適切な角度になるように調整する方法があります。さらに、特に身長が高い人は、外付け画面などを活用して、前かがみでの作業にならないように工夫する必要があります。長時間立位で作業するときは、足を低い台の上に左右交互にのせて背筋の緊張を減らしてあげると、腰痛のリスクを軽減できます。

デスクワークでの作業中の留意点について示しましたが、最も重要なことは適宜作業を中断して体をほぐすことです。30分に1回の中断が理想的ですが、業務中こまめに実施することは難しいため、1時間に1回立って上体を反らすなどのストレッチをしてみたり、少し歩いてみたりするといったことを取り入れることが望まれます。

図. 座位作業における5つのチェックポイント

①PC画面までの視距離と目線
40cm以上の距離を開ける。目線が下がりすぎたり、顔が前へ出ると肩こりが強まる。

②肘の角度
肘は直角以上(約120°)にする。肘置きがあるとより良い。

③背もたれの活用
背もたれは、上体の体重の約6割をカットし、腰への負担が減る。

④座面の高さ・奥行き
座面の高さは、足裏がしっかりつき、膝が90°程度になるようにセット。膝裏が座面で圧迫されないようにする。

⑤足元の整理、椅子を引く
足元が狭いと椅子をきちんと引けず、背もたれが活用されなかったり、足を後ろに引く姿勢になるため十分なスペースを確保する。

参考:松平浩, 職場における新たな腰痛対策 Q & A 50

  • (株)安川電機 統括産業医 宮﨑洋介

    専門分野:産業医学、産業保健
    資格:産業衛生専門医・指導医、社会医学系指導医、労働衛生コンサルタント(保健衛生)

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