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第16回 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)は、睡眠中の呼吸障害の所見に加えて日中の眠気や疲労などの症状を伴う症候群です。睡眠中に無呼吸を繰り返すことで短時間の覚醒を頻回に起こすため、睡眠の質が低下し、結果的に日中の強い眠気や集中力・判断力の低下などを引き起こします。SASの多くは空気の通り道である上気道の閉塞によるもので、肥満や小さい下あご、鼻中隔湾曲、扁桃肥大といったものが原因として挙げられます。また、飲酒や睡眠導入剤の内服によってのどの緊張が緩まり、空気の通り道が狭くなることでSASを誘発することがあります。SASの方は周りから睡眠中のいびきを指摘されたり、夜間の中途覚醒、起床時の頭痛・倦怠感を経験することが多いです。

SASによる健康影響は大きく2つに大別できます。ひとつは先に述べた日中の眠気や集中力低下とそれらに伴う交通事故、労働災害リスクの上昇で、SASを有する人は交通事故を起こすリスクが3~5倍増加するとの報告があったり、日中の眠気による作業効率の低下で労働災害の一因にもなっています。もう一つは循環器疾患や糖尿病のリスクが高まることです。近年の研究でSASが血圧や血糖の上昇、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞のリスクとなりえることが明らかになってきており、職域おいてSASは労災防止、健康管理の両面で重要な疾患と認識されています。

SASの治療は断続的な睡眠による睡眠の質の低下を改善することであり、就寝時に鼻から空気を送り込んで気道が閉塞しないようにする持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure: CPAP)が健康保険の適応となっており、CPAPによっていびきの防止、眠気の改善、高血圧の改善などの効果が得られます。また、同時に減量、禁煙、節酒などの保健指導を積極的に併用することが重要です。そのほかにも手術やマウスピース装着などの治療も有用とされています。

SASは男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられるとされていますが、その多くは未治療であるのが現状です。もし気になる症状があれば会社の産業医や医療機関へ相談することをお勧めします。

  • (株)安川電機
    統括産業医 宮﨑洋介

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